スピード感を意識して開発に取り組む。90%を超えてからのブレークスルーが難しい

現在担当している仕事

テレビやディスプレイなどの液晶パネルやタッチパネルを構成する光学部材用の粘着剤を開発しています。今取り組んでいる偏光フィルム用粘着剤は、チームで開発を進めていますが、週に1回全員でミーティングを行い、チームとしての方向性にズレが生じないように情報を共有することを心がけています。液晶パネルそのものが、常に進化し続けている最先端の製品だけに、そこで使用される粘着剤においても、現時点で最高の性能を発揮していた技術が、わずか数年後には陳腐化し、時代遅れとなってしまうこともあります。そのため常にスピード感を持って製品の開発にあたることを心がけています。

仕事で何かを発見した瞬間

開発の仕事というのは、仮説を立て、試作して、試験して、評価する、そして再び仮説を立てるという一連の流れを、何度も繰り返しながら、一歩一歩製品を作り上げていく作業です。こうした開発プロセスの精度を高めるためには、まず試作品の性能を正しく評価し、正確な実験データを入手することが重要になります。私も開発の仕事に携わった当初は、どのような方法で試験をすれば良いのか判断できず、無駄な時間を費やしていました。しかしある時、マニュアル通りに測定するだけでなく、「どうして測定できるか」という測定の原理や、測定装置の構造を理解してはじめて正確なデータを記録できることに気づきました。それから研究所にある測定装置の理解に努めた結果、製品の性能を正しく評価して正確なデータを記録できるようになりました。製品の性能を正しく評価して、正確にデータ化する手法は、私にとっても、会社にとっても、開発の速度を向上させる重要なノウハウになっていると思います。

この仕事の難しいところ

試作と評価を行う時は、思い通りのデータが得られた場合でも、なぜ上手く行ったのか、そのメカニズムの解明に取り組んでいます。メカニズムが解明できれば後日、応用の可能性が見えてきます。そのため、成功でも失敗でも、実験の結果は貴重なデータになります。多くの場合、開発が完成する直前、90%の地点までは従来のデータを活用することで比較的容易に達することができます。ところが最後の詰めの部分が難しい。一つの性能が改善されると、今度は別の性能が低下するため、相反する性能を両立させるのに大変苦労します。何か新しい要素を入れなければ解決しない事が多いため、普段あまり使うことのない原材料を試すなど、試行錯誤を繰り返していきます。しかし、こうした苦労の末に、ブレークスルーを果たした時の喜びは格別です。

今後の目標

近い将来には、フレキシブルに折り曲げることができる液晶テレビも実用化されるでしょう。スマートフォンの普及もあって、水中での使用など、液晶パネルの使用環境は以前より過酷になるはずです。高温、高湿に耐え、透明度を維持したまま、急激な温度の変化にも対応し、剥がれない……。そんな多機能で高性能の粘着剤も求められるでしょう。まだまだ奥が深い粘着の世界ですが、その中にあって、この人在りと一目置かれる存在になることが、私の技術者としての目標です。その上で、ゆくゆくは営業や製造の仕事も経験し、いずれは会社の経営にも携わりたいと考えています。

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